複雑な高齢者の保険制度
高齢者が適切な医療を受けられるように、日本においてはいろいろな保険制度が存在しています。
制度自体はとても有用なもので、どの日本国民も一定以上の医療を受けられるようになっているのですが、複雑な仕組みを持っているために、調剤薬局で薬を出す薬剤師にはとっては、煩雑に思えることがあるのも事実です。
いろいろな要素が絡まってきますので、すべてを網羅することができませんが、基本となるところを覚えておくと役に立つでしょう。
複数の保険制度がありますが、かなり大雑把に言うと、75歳以上の後期高齢者の1割負担と、それ以下の年代の方の3割負担という2種類に分かれます。
もちろん、この中にも、所得による負担増や、障害認定による負担減、複数の保険併用による負担減などがありますが、骨子となる負担率はこの2つに大別されます。
退職した後に適用される保険がある
通常健康保険というと、国民健康保険と、会社員向けの社会保険、公務員などが加入する共済保険などが一般的です。
社会保険に加入していた人が退職すると、国民健康保険に加入することになるのですが、その他に退職者国保や特例退職者医療制度というものが選択肢に入ってきます。
どの制度も負担割合は3割となっていますので、請求する金額は変わりませんが、扱う書類などは異なりますので、こうした制度があることを念頭に置いておくと良いでしょう。
退職者国保は、65歳未満の方で、かつ年金を受けている人のためのものですので、全体としてはあまり多くありません。
その分、たまにこの制度を活用される患者さんに対応するときに、戸惑ってしまうことがありますので、気をつけないとですね。
特例退職者医療制度は、組合保険に入っていた人が活用できるもので、75歳まで継続できて、保険料も安めという好条件のため、結構利用されている方が多いかと思います。
所得などによる負担額の違い
75歳以上になると後期高齢者医療制度の枠組みに入ることになります。
基本的には、自己負担額は1割となりますが、中には3割負担の患者さんもいます。
これは、所得による違いで、いわゆる現役で働いている人と同じくらいの所得がある場合は、75歳以上でも3割となるのです。
年齢だけ見ると1割負担のはずなのに、実際は3割負担になっている請求書を見ると、一瞬疑問に思ってしまうこともありますが、こうした負担額の違いがあることを覚えておけば大丈夫ですね。
また、75歳以下の方でも、障害者認定を受けている場合は、やはり1割負担となっています。
しかし、同じように障害者認定を受けていても、所得が現役並みなら自己負担は3割となるという制度もあります。
今は、コンピューターが請求計算をしてくれますので、そんなに面倒なことはありませんが、こうした知識を入れておくとスムーズに作業を進められます。