新しい安全対策

私たち薬剤師も人間である以上、仕事上のヒューマンエラーは全くないとは言い切れません。
薬を調剤するとき、いわゆる「ヒヤリハット」を体験したことは、一度や二度ではないと思います。
時にはその「ヒヤリハット」が本物の調剤ミスに発展してしまい、尊い患者さんの命を奪ってしまうことすらあります。

そんな 調剤ミスなどの薬剤に関する事故を少しでも減らそうという取り組みを厚労省が推進しています。
厚労省は、医療に使う医薬品のバーコード表示の一部を改正することを通知したそうです。
バーコード表示を改正する理由は、より安全な医療を提供するためだということです。

バーコード表示改正の内容には、患者に処方する内用薬と外用薬について書きます。
その薬品が生物から抽出された製品であっても、2015年7月までに必ず調剤包装と同じ個数で新しいバーコードを表示することとされています。

さらには、薬品の流通をより効率化するために、販売包装単位と元梱包単位の任意項目についても、できる限り新しいバーコードを見せるようにしていくようにします。
とこれらの厳しいと思われるかもしれませんがこのような規定が盛り込まれています。
厚労省がバーコード表示の改正に乗り出したのは、後を絶たない医薬品の取り違え事故の防止によるものです。
薬がどこの薬品会社で作られているか、といったことを追跡できるトレーサビリティの確保をするためです。

進行中の取り組み

特に、薬を服用する患者にとって重要な有効期限やトレーサビリティの確保に重要な製造番号を新しいバーコードに表示することを厚労省は推進しています。
また、PTPシート、瓶、アンプルは、これまで技術的な問題のためにこれまでバーコード表示を猶予してきたそうです、ですが今回のバーコード表示の改正により、これらにも原則として3年後までにします。

そして、年1回しか製造しないなど特殊な事情をもつ医薬品については、4年後までに新しいバーコード表示に対応することを求めています。
また段ボール箱につめてある薬品については、現在のところは、段ボールにバーコードとともに表示しているJANコードとの併記を認めるもの。

それもこれも3年後以降に出荷するものについては、バーコード表示以外は認めないということです。
厚生労働省は、医薬品にバーコードの表示の普及が進んでいるという状況を見極めたうえで、新しいバーコード表示の改正を決めたようです。
医薬品の新しいバーコードの表示は現在、普及率が96%にも達しほとんど全ての医薬品に普及しています。

しかし、必ずしも表示が義務づけられていない任意項目のバーコード表示については、生物由来製品が10%程度上昇したものの、注射薬の表示は20%程度にとどまっています。
厚労省は、今後の状況を踏まえて、さらにバーコード表示の範囲をふやしていく方針です。
また医薬品だけでなく、医療機器でもバーコード表示が進んでいます。

医療機器はバーコード表示が義務づけられている物については、ほぼ全てのものがバーコードに対応しているということです。
医療機器のバーコード表示も、関係団体が自主的に取り組んできたそうですが、2007年に国会の閣議決定で表示が推進されて以降進められています。