資格の違い
この間、インターネットの掲示板で、今の会社の給料が安いので、転職のために薬剤師の資格の取得を考えているが、通信教育で何とか薬剤師の資格は取れないか、といった質問を見かけました。
誠に残念なのですが、薬剤師の資格は通信教育で取ることはできません。
この質問をされた方はおそらく、通信教育で取れる調剤薬局事務の資格と薬剤師の資格を混同されたのではないでしょうか。
(薬剤師の資格と調剤薬局事務の資格は全く違います。
調剤全般を請け負うことになる薬剤師の業務に対し、調剤薬局事務の業務が保険の確認や調剤報酬明細書(レセプト)の作成という調剤の補助的な役割にとどまっていることからも、その資格の内容の違いがわかることでしょう。)
確かに、調剤薬局事務の資格であれば、手軽に通信教育で資格を取得することができます。
しかし、薬剤師の資格は国家資格ですので、調剤薬局事務の資格のように簡単に取得できるものではありません。
薬剤師の国家試験の受験資格は、薬剤師法という法律で「大学の薬学部をきちんと卒業した者」でないと受けられない、ときちんと定められているからです。
しかし、大学の薬学部に入学できる年齢には制限がないので、その気になれば何歳であろうと大学の薬学部を卒業して薬剤師の国家資格を取得することができるのです。
とはいうものの、大学の薬学部は現在大きな問題を抱えています。
それは、6年制に移行してしまったために、薬剤師の供給不足が起きてしまったことです。
大学の薬学部が6年制に移行した当初は、「薬剤師の供給が増えすぎて、6年間頑張って薬学部で勉強して卒業しても、学生は薬剤師としての就職先がないのでは」ということが心配されていたのですが、実際はその逆で、薬剤師の供給不足が全国で深刻になっているのです。
2年の隙間
徳島の方では、他の業種が人手が余っているのに対して、大学の薬学部が6年制に移行した影響で、薬剤師の供給不足が起こってしまっていることがニュースになりました。
徳島の大学の薬学部では、6年制に移行したせいで、卒業生が極端に少ないという期間が生じてしまいました。
このため、薬剤師が供給不足に陥ってしまっているのです。
徳島県内のドラッグストアや薬局、病院は、深刻な薬剤師不足に悩み、人材の確保が難しくなったと嘆いているそうです。
薬学部の卒業生は皆、病院の薬局や大手の薬局を好むので、地方にある薬局にはなかなか良い薬剤師が集まらないのが現状です。
このように現在は、薬剤師にとって、就職や転職は超売り手市場という状況が起きています。