他とは異なる特徴を持つ睡眠薬

いくつものタイプがある睡眠薬ですが、ベルソムラは他のものとは異なる特徴を持っています。
他の睡眠薬は、睡眠を誘発する物質であるメラトニンと同じような機能を持たせることによって、眠気を与えるというタイプのものがあります。
また、神経伝達物質であるGABAに作用して、眠気をもたらすベンゾジアゼピン系睡眠薬も一般的です。

しかし、ベルソムラはこうした睡眠薬とは作用機序が異なります。
この薬は、大まかに言うと、オレキシンという覚醒物質の作用を阻害することによって、覚醒を阻み眠気をもたらすという作用を持っています。
服用した初めの日から効果が現れることから、とても使いやすい薬であると言えるでしょう。

依存性がないというメリットを持つ

患者さんの中には、入眠導入のために睡眠薬を用いたいが、薬に依存してしまうのではないか、という不安から睡眠薬を使用することをためらう方がいます。
確かに、いくつかのタイプの睡眠薬にいは依存性がありますので、十分気をつける必要がありますが、このベルソムラはシステムが異なるため、依存性を持たないというメリットがあります。

一方で、ベルソムラを服用した翌日にも、眠気が残ったり注意力が落ちるという副作用が見られることがあります。
そのため、半減期が過ぎる服用の翌日であったとしても、自動車や機械類の運転、操作は控えた方が良いでしょう。
実際に、ベルソムラを飲んだ翌日に自動車を運転して、強い眠気によって事故に遭ったという事例も報告されています。

もちろん、睡眠薬の効果は人それぞれですし、飲酒や他の薬との併用などによって、効果が強く現れたり持続時間が異なったりしますので、個人の違いにも目を向けるべきでしょう。
しかし、命に関わるような作業をすることがあるのであれば、慎重を期すに越したことはありません。

ナルコレプシーに注意

ベルソムラがもたらす眠気として注意したいのが、ナルコレプシーです。
このナルコレプシーとは、昼間普通に仕事や作業をしている最中に、前触れもなくかなり強い眠気が突然に来るという症状をもたらします。
急な脱力感なども症状の1つですので、十分注意すべきものです。

ナルコレプシーを患う患者は、オレキシンの量が減っているという特徴を持っていますので、ベルソムラを服用しオレキシンの活動が抑制されることで、ナルコレプシーが引き起こされる可能性も否定できません。
そのため、こうした突然の強い眠気などの症状が出ないかどうか、よく注意しながら服用することが求められます。

依存性がないなど、とても有用な睡眠薬ですので、こうした副作用や留意すべき点に注意しながら、上手に服用するように指導する必要があります。