訪問のメリット

最近は医師の訪問診療に薬剤師が一緒になって行くという機会が増えています。
兵庫県のある中規模の薬局では、高齢者の施設と連携を深めていくことにより、その施設に入居している薬の調剤や訪問薬剤管理指導の業務に携わることが多くなったそうです。

この薬局を経営している薬剤師は、1997年あたりから在宅医療の患者と関わりを持つようになったということです。
まだ、医薬分業が始まったばかりの頃の話しなのですが。
この薬局は在宅医療に力を入れている医師から院外処方箋を渡しますので、訪問診療に同行してほしいという依頼を受けるようになったそうです。

こうして、この薬局の薬剤師は医師の訪問診療に同行するようになったということですが、彼が医師に同行して在宅の患者を訪問すると、患者はとても喜んでくれたそうです。
この薬剤師はもともと地元育ちで、訪問販売中心の薬局を開いていたため、在宅の患者の多くは彼と顔見知りなのだそうです。
訪問診療に同行し始めた当時は、現在ほど介護サービスは充実していなかったそうです。
ですが自分では届かない背中にシップ薬を貼って欲しいなど、様々なことを彼に頼んでくれたそうです。

訪問診療の必要性

彼は、訪問診療に同行して、薬剤師の訪問診療同行に対するニーズはかなりあると強く実感したそうです。
以来、この薬剤師はさらに訪問診療同行の業務に注力するようになりました。
彼は、患者の自宅を訪問して薬を説明を行ったり、飲み忘れや飲み間違いを防止したりなどの説明をしました。
訪問診療を担当する看護師と連携して、患者に処方する薬のセットを工夫するように心がけるようになりました。

そして、1999年あたりには、10人から20人くらいの在宅の患者の服薬管理を担当するようになったそうです。
介護保険制度がスタートした2000年からは、より本格的に在宅医療に関わっていくため、彼は薬局のスタッフ3人とともに、ケアマネージャーの資格を取得したということです。

ケアマネージャーの資格を取得したことで彼は、薬剤師の資格だけの範囲内ではわからなかった在宅医療の問題もわかるようになったということです。
なぜなら、ケアプランを作成すると、医療にかかる費用も含めた幅広い相談を受けることが多くなったからです。

ケアマネージャーの資格は、在宅医療の患者が現在困っていることや、彼らのニーズを的確に掴むために大いに役立っているそうです。
同時に、この薬剤師が経営する薬局は、2000年頃から本格的に高齢者向けの施設に関する業務も行うようになっていきました。
この薬局は、高齢者向けの施設に対しても、彼らが何を求めているのか、というニーズを常に考え、業務に活かしています。

彼らは、施設に入所しているお年寄りが間違って薬を飲んだり、不適切な薬の飲み方をしていないか管理をしているということです。
こうして高齢者向けの施設の信頼を少しずつ得ていったのです。
そしてこの薬局は、現在では、高齢者向け福祉施設の入所者の服薬管理にとどまらず、福祉施設の建設の候補地の紹介といった業務も手がけるようになりました。