若者に広がる精神薬
最近、精神科医が子供に安易に向精神薬を投与するという問題が発生しています。
先日、テレビ番組で向精神薬の副作用に悩む子供たちと、向精神薬の処方に悩む専門医の問題が取り上げられました。
厚生労働省が行った調査によりますと、未成年の患者が発達障害やうつ病などで専門の医療機関を受診した割合は、平成20年には15万人にも達したということです。
これは、12年前に比べて倍の患者数になっています。
さらに、調査の結果、精神疾患で専門の医療機関を受診した未成年の患者が向精神薬などの薬物を飲み始めた年齢も低年齢化が進んでいることが判明し、就学前から向精神薬を飲み始めたという患者が39%にのぼっていました。
つまり、未成年の精神疾患の患者のうち、7割が小学校低学年から向精神薬を飲み始めていることになります。
また、精神科医の未成年の患者への薬物の与え方にも問題があることもわかりました。
興奮性を抑える薬をまだ3〜4歳の幼児に与えていたり、1〜2歳の幼児に睡眠障害を抑える薬を与えていたケースがあったからです。
彼らの中には、向精神薬が重大な副作用をもたらすかもしれないとわかっていながらも処方したり、内心でひやひやしながらも処方していた人も少なからずいたそうです。
このため、精神科の病院に通っている子供たちの中には向精神薬の副作用に苦しむ子供たも少なくありません。
危険な副作用
身体の揺れが止まらなくなったり、けいれんを起こしたりなど、多くの子供たちが向精神薬の副作用に悩まされています。
成長段階にある子供たちには、どのくらいの向精神薬を投与が適量なのか、ということや、子供たちにそれらを服用させるとどのような影響があるのか解明もされていない中で、精神科の医師たちは未成年の患者にそれらを投与しつづけているのです。
しかも、向精神薬の服用を下手にやめてしまいますと、離脱という急激な反応が起きてしまい、命にかかわることもあるそうです。
このような、子供たちが幼児のうちから向精神薬づけになってしまっているその背景には、「精神的疾患はより早いうちから発見し、治療するべきだ」という考えが学校や医療機関の間に浸透したことがあります。
文部科学省が、子供の精神疾患をいち早く見抜くための手引き書を作ったことの影響も少なくありません。
しかし、ある児童精神科医は、昔は子供の精神障害を個性的であるとか、ユニークであるとみるおおらかさがあったが、最近はそういったことがなくなり、親も教師も医師も、とにかく精神障害の兆候を見逃してはならない、精神障害の兆候が少しでもあれば、これは問題行動だと目くじらを立て、すぐにでも治療しなければという強迫観念にとらわれるようになってしまったと指摘しています。
児童精神科医は、子供の精神異常は12歳くらいまでは薬を使わなくても何とかなると訴えています。
薬もすぎれば毒になる、ということわざにもあるように、薬に頼りすぎるとかえって悪影響が出てくる場合があります。
子供への向精神薬の処方は、ほどよい距離感をもって行うべきだと私も考えます。